英語のリスニング勉強法|聞き取れない原因別の練習と上達の手順
英語のリスニング勉強法を、聞き取れない4つの原因(音の変化・語彙・処理の速さ・背景知識)別に解説。精聴・ディクテーション・シャドーイング・多聴の使い分け、1つの音声を使い切る5STEP、教材の選び方、レベル別メニュー、よくある失敗まで紹介します。
英語のリスニング勉強法は、聞き取れない原因に合わせて選ぶのが基本です。スクリプトを読めば分かるのに聞き取れないなら音の変化が原因で精聴・ディクテーション・シャドーイング、読んでも分からないなら語彙・文法の学習を優先し、1つの音声を確認から聞き直しまで使い切ります。
この記事でわかること
英語が聞き取れない原因は、音の変化・語彙と文法・処理の速さ・背景知識の4つで、スクリプトを読んだときと聞いたときの差で見分けられます。
リスニングの勉強法は、精聴・ディクテーションで音を確認し、シャドーイングで仕上げ、多聴で聞き直す順に組み合わせます。
教材は音声とスクリプトがそろった1〜3分のものを選び、1つの音声を5STEPで聞き取れるまで使い切ります。
英語のリスニングの勉強法は、ディクテーション・シャドーイング・多聴・精聴など幅広く存在します。どの勉強法が合うかは、英語が聞き取れない原因によって変わります。
聞き取れない原因を先に見分けると、自分に必要な練習を迷わず選択可能です。原因に合わない練習を続けて「何ヶ月も聞いているのに上達しない」という状態も避けられます。
本記事では、英語が聞き取れない4つの原因、原因別の練習法、1つの音声を使い切る5STEPの手順をまとめています。さらに、教材の選び方、レベル別のメニュー例、よくある失敗と対処法も紹介します。
※本記事の例文・診断の手順・レベル別のメニュー例は、英語の窓口編集部が作成したものです。
英語のリスニング勉強法の結論|聞き取れない原因別の早見表
リスニングの勉強法は、聞き取れない原因に合わせて選ぶと効率が上がります。音が聞き取れない方と、音は聞き取れても意味が追いつかない方では、必要な練習が異なるためです。
ここでは、原因別の勉強法を早見表で示したうえで、リスニングを「音を聞き取る段階」と「意味を理解する段階」に分ける考え方を紹介します。
原因別のリスニング勉強法の早見表
リスニングの勉強法は、スクリプトを読んだときに意味が分かるかどうかで大きく2つに分かれます。スクリプトを読んでも意味が分からない英文は、何度聞いても聞き取れるようにならないからです。
聞き取れないときの症状・原因・合う勉強法を、以下の表にまとめます。
聞き取れないときの症状 | 主な原因 | 合う勉強法 |
|---|---|---|
スクリプトを読めば分かるのに、聞くと分からない | 音の変化・リズムに慣れていない | 精聴・ディクテーション・音読・シャドーイング |
スクリプトを読んでも意味が分からない | 語彙・文法が足りない | 単語・文法の学習、スクリプトの精読 |
1文ずつなら分かるが、長く続くとついていけない | 処理の速さが追いつかない | シャドーイング・同じ音声の反復・多聴 |
単語は聞き取れるのに、話の内容がつかめない | 話題の背景知識がない | 日本語や英語の記事で話題を調べてから聞く・多聴 |
※英語の窓口編集部の整理です。複数の原因が重なることもあります。
上記の表で当てはまる行が分かれば、まず取り組む練習が決まります。原因の見分け方は、次の章の最後で手順として紹介します。
リスニングは「音を聞き取る」と「意味を理解する」の2段階
リスニングとは、英語の音を単語として聞き取り、聞き取った単語を文の意味として理解する作業です。英語が聞き取れないときは、どちらの段階でつまずいているかを分けて考えます。
2つの段階でそれぞれ必要な力は、以下のとおりです。
- 音を聞き取る段階:音の変化・アクセント・リズムを知り、音を単語として認識する力
- 意味を理解する段階:語彙・文法の知識、聞いた順に意味を取る速さ、話題の背景知識
音を聞き取る段階の練習には、音声を細かく聞き込む精聴やディクテーションが向いています。意味を理解する段階の練習には、単語・文法の学習や、量を聞く多聴が向いています。
英語が聞き取れない原因4つ
英語が聞き取れない原因は、音の変化・語彙と文法・処理の速さ・背景知識の4つに分けられます。4つの原因は対策が異なるため、自分の原因を知らないまま練習量だけを増やしても上達につながりにくくなります。
ここでは、4つの原因を1つずつ紹介し、最後に自分の原因を見分ける手順をまとめます。
音の変化・リズムを知らない
英語が聞き取れない原因の1つ目は、英語の音の変化とリズムを知らないことです。英語の会話では、単語が1語ずつ区切って発音されず、つながったり弱くなったりするためです。
英語の音の変化の代表例は、以下のとおりです(例は英語の窓口編集部が作成)。
- 連結:子音で終わる単語と母音で始まる単語がつながる(pick it up が1語のように聞こえる)
- 脱落:単語の最後の音がほとんど聞こえなくなる(hot dog の t がほぼ聞こえない)
- 弱形:to・for・and・can などの機能語が弱く短く発音される(a cup of tea の of)
- 同化:隣り合う音が混ざって別の音になる(Did you が「ディジュ」に近い音になる)
※カタカナは音のイメージで、正確な発音ではありません。
また、英語は強く読む音節と弱く読む音節の差が大きく、文の中では内容語(名詞・動詞など)が強く、機能語が弱く読まれます。音の変化とリズムを知らないと、知っている単語でも別の音に聞こえ、「知らない単語」と勘違いしやすくなります。
語彙・文法が足りない
英語が聞き取れない原因の2つ目は、語彙と文法の知識が足りないことです。音が正確に聞き取れても、単語の意味や文の構造が分からなければ、文の意味は理解できないからです。
たとえば、自作の例文「The meeting has been put off until next week.」で put off(延期する)を知らないと、音がすべて聞き取れても会議がどうなったのか分かりません。リスニングで使える語彙は、意味を知っているだけでなく、音を聞いてすぐ意味が浮かぶ状態の語彙です。
ただし、単語を覚えるときに発音を確認しないと、読めば分かるのに聞くと分からない単語が増えます。単語を覚える際は、音声で発音も一緒に確認しましょう。
聞いた順に意味を取る速さが追いつかない
英語が聞き取れない原因の3つ目は、聞いた英語を処理する速さが話す速さに追いついていないことです。英語を日本語に訳してから理解したり、文の後ろから意味を取ったりすると、次の文が流れてくるまでに処理が終わらないためです。
たとえば、自作の例文「I called the shop to ask if they had the book in stock.」を「店に電話した → 尋ねるために → その本の在庫があるか」と聞いた順に理解できれば、文の最後まで意味を保てます。日本語の語順に並べ替えて訳そうとすると、後半を聞いている間に前半を忘れやすくなります。
ただし、処理の速さは語彙と文法の知識が土台です。知らない単語が多い段階で速さだけを鍛えようとしても、効果は出にくくなります。
話題の背景知識がない
英語が聞き取れない原因の4つ目は、話題に関する背景知識がないことです。日本語でも、知らない分野の話は単語が聞き取れても内容をつかみにくいのと同じ理由です。
たとえば、ニュースで海外の選挙制度の話題を聞く場合、選挙の仕組みを知っていれば、聞き取れない単語があっても前後の流れから内容を補えます。背景知識があると、次に出てくる話の展開を予測しながら聞けるようになります。
ただし、背景知識だけで内容を推測すると、聞き取れていない部分を思い込みで埋めてしまいます。背景知識は、音と意味の練習を補うものとして使います。
自分の原因を見分ける3つの手順
自分の聞き取れない原因は、スクリプト付きの音声を1つ使えば見分けられます。聞いたときとスクリプトを読んだときの理解度の差を比べると、原因が音にあるのか意味にあるのかが分かるからです。
聞き取れない原因を見分ける手順は、以下のとおりです。
- スクリプト付きの1〜2分の音声を、スクリプトを見ずに2回聞き、分かった内容をメモする
- スクリプトを読み、読んで意味が分からない箇所に印を付ける
- スクリプトを見ながらもう一度聞き、読めば分かるのに聞き取れなかった箇所に別の印を付ける
手順2の印が多ければ語彙・文法、手順3の印が多ければ音の変化が主な原因です。どちらの印も少ないのに1回目の理解が浅い場合は、処理の速さか背景知識が原因と考えられます。
原因別のリスニング練習法4つ(精聴・ディクテーション・シャドーイング・多聴)
リスニングの練習法は、細かく聞き込む「精聴」系と、量を聞く「多聴」系に分かれます。精聴は音を聞き取る力を、多聴は聞いた順に意味を取る速さと慣れを鍛えるため、両方を組み合わせることが重要です。
ここでは、精聴・ディクテーション・シャドーイング・多聴の4つの練習法を紹介し、最後に組み合わせ方を表で比較します。
精聴:1文ずつ聞き込んで聞き取れない箇所をなくす
精聴とは、短い音声を1文ずつ止めながら聞き、聞き取れない箇所がなくなるまで聞き込む練習です。聞き取れない箇所を1つずつ特定して原因を確認するため、音の変化に慣れていない方に向いています。
たとえば、1分の音声を1文ずつ再生し、聞き取れない箇所はスクリプトで確認してから、聞こえるまで繰り返します。スクリプトで確認した後に「こう聞こえるのか」と音と文字を結びつけることが、精聴の目的です。
ただし、精聴は1回に扱える量が少なく、精聴だけでは長い英語を聞き続ける力がつきにくくなります。精聴で使った音声は、仕上げに通しで聞き直しましょう。
ディクテーション:聞こえた英文を書き取って弱点を見つける
ディクテーションとは、音声を聞いて英文をそのまま書き取る練習です。聞き取れなかった単語が書き取った紙にそのまま残るため、自分が苦手な音を具体的に把握できます。
たとえば、自作の例文「I want to go to the station.」を書き取ったときに to が抜けていれば、弱く読まれる機能語を聞き落としていると分かります。答え合わせでは、抜けた単語・間違えた単語に印を付け、なぜ聞き取れなかったのかを音の変化のルールと照らし合わせます。
ただし、ディクテーションは時間がかかるため、長い音声で行うと続きません。1回分は30秒〜1分程度の短い音声にすると、毎日続けやすくなります。
シャドーイング:聞いた音を少し遅れて声に出す
シャドーイングとは、スクリプトを見ずに、英語の音声を少し遅れて追いかけながら声に出す練習です。音声を止めずに聞くことと話すことを同時に進めるため、音を聞き分ける力と聞いた順に処理する速さを鍛えられます。
たとえば、秋田大学の濱田陽氏の論文(Language Teaching Research、2016年)では、日本の国立大学の英語学習者43人を対象に、9回の授業でシャドーイングを取り入れています。論文の要旨によると、音素の知覚は下位・中位の両グループで向上し、高校レベルのリスニング問題の得点が上がったのは下位グループだけでした。
ただし、濱田氏の研究は43人を対象にした1つの研究で、すべての学習者に同じ結果が出るとは限りません。シャドーイングは意味を確認した英文で行うのが前提で、具体的な手順はシャドーイングのやり方と効果で解説しています。
多聴:やさしい英語を大量に聞いて慣れる
多聴とは、内容がほぼ分かるやさしい英語を、止めずに大量に聞く練習です。英語を聞いた順に理解する経験を積めるため、処理の速さと背景知識を伸ばす練習に向いています。
たとえば、精聴やシャドーイングで使い終えた音声を通勤中に聞き直したり、興味のある分野の英語のポッドキャストを聞いたりする方法があります。内容が分かる音声を聞くことで、英語を日本語に訳さずに理解する時間が増えます。
ただし、内容がほとんど分からない英語を聞き流しても、音として流れていくだけで練習になりにくくなります。多聴の音声は、スクリプトを読めば意味がほぼ分かる難しさのものを選びましょう。
4つの練習法の比較と組み合わせ方
4つの練習法は、鍛える力と1回にかかる時間が異なります。1つの音声を精聴・ディクテーションで細かく確認し、シャドーイングで仕上げ、多聴で聞き直す順に組み合わせると、1つの音声を無駄なく使えます。
精聴・ディクテーション・シャドーイング・多聴を、やり方・鍛える力・向いている原因で比較します。
練習法 | やり方 | 主に鍛える力 | 向いている原因 | 1回の目安 |
|---|---|---|---|---|
精聴 | 1文ずつ止めて聞き込む | 音と文字を結びつける力 | 音の変化 | 1〜2分の音声 |
ディクテーション | 聞こえた英文を書き取る | 聞き取れない音を見つける力 | 音の変化 | 30秒〜1分の音声 |
シャドーイング | 少し遅れて声に出して追いかける | 音の聞き分け・処理の速さ | 音の変化・処理の速さ | 1〜3分の音声 |
多聴 | やさしい英語を止めずに聞く | 聞いた順に理解する力・慣れ | 処理の速さ・背景知識 | 10分以上 |
※1回の目安は英語の窓口編集部の目安です。
語彙・文法が原因の方は、4つの練習法の前に単語と文法の学習を並行して進めます。スクリプトを読んでも分からない英文は、どの練習法でも聞き取れるようにならないためです。
英語のリスニングを上達させる手順【5STEP】
英語のリスニングは、1つの音声を5つの手順で使い切ると上達しやすくなります。教材を次々に替えるより、同じ音声で「聞き取れない → 原因を確認する → 聞き取れる」を繰り返すほうが、聞き取れる音が確実に増えるからです。
ここでは、1つの音声を使い切る5つの手順を紹介します。例文はすべて英語の窓口編集部が作成したものです。
【STEP1】話題を確認してから音声を聞く
最初は、音声のタイトルや設定を確認してから、スクリプトを見ずに2〜3回聞きます。話題を知ってから聞くと、背景知識が原因の聞き取れなさを減らし、音と意味の練習に集中できるためです。
たとえば、「ホテルのチェックインの会話」と分かっていれば、予約・名前・部屋などの単語が出てくると予想しながら聞けます。聞き終えたら、分かった内容と聞き取れなかった箇所をメモしておきます。
ただし、2〜3回聞いても話題すら分からない場合は、教材が難しすぎる可能性があります。1段階やさしい教材に替える判断も必要です。
【STEP2】スクリプトで意味を確認する
次に、スクリプトを読んで、知らない単語・熟語・文の構造をすべて確認します。意味の分からない英文が残ったまま練習を進めると、音をまねるだけの練習になるからです。
たとえば、自作の例文「I'd like to check in. I have a reservation under Tanaka.」なら、under Tanaka(田中の名前で)の使い方を確認します。知らなかった単語は、発音も音声で一緒に確認します。
ただし、スクリプトの全文を日本語に訳す必要はありません。英語の語順のまま意味が分かれば、STEP3に進んでかまいません。
【STEP3】スクリプトを見ながら音の変化を確認する
STEP3では、スクリプトを見ながら音声を聞き、文字と音がずれている箇所を確認します。スクリプトでは分かるのに聞き取れなかった箇所が、音の変化を学ぶ材料になります。
たとえば、「I'd like to check in.」の check in がつながって1語のように聞こえる、like to の to が弱く短くなる、といった点にスクリプトへ印を付けます。STEP1でメモした聞き取れなかった箇所と照らし合わせると、自分が苦手な音の変化が分かります。
ただし、聞き取れない箇所が1つの音声に多すぎる場合は、ディクテーションで1文ずつ確認する方法に切り替えます。
【STEP4】音読・オーバーラッピング・シャドーイングで声に出す
STEP4では、確認した英文を声に出して練習します。自分で発音できる音は聞き取りやすくなるため、聞く練習に声に出す練習を加えることが重要です。
声に出す練習は、以下の順に難しくなります。
- 音読:スクリプトを見ながら、音声のまねをして読む
- オーバーラッピング:スクリプトを見ながら、音声と同時に読む
- シャドーイング:スクリプトを見ずに、音声を少し遅れて追いかける
シャドーイングで口が追いつかない箇所は、音読に戻って練習します。自分の発音が音声とずれているかを確かめたい方は、英語の発音練習のやり方もあわせて確認しましょう。
【STEP5】時間を置いて聞き直し、多聴に使う
最後に、数日あけてから同じ音声をスクリプトなしで聞き直し、STEP1より聞き取れるようになったかを確認します。時間を置いて聞き直すと、一時的に覚えた音ではなく、聞き取れるようになった音かどうかを確かめられるからです。
たとえば、月曜日にSTEP1〜4を行った音声を、木曜日の通勤中に聞き直します。すべて聞き取れるようになった音声は、多聴用の音声としてスマートフォンに入れておき、すき間時間に聞き直します。
ただし、聞き直しても聞き取れない箇所が残る場合は、STEP3に戻って音の変化を確認し直します。
英語のリスニング教材の選び方【4つの基準】
リスニング教材は、難しさとスクリプトの有無で練習の効果が変わります。上級者向けの教材や話題になっている教材を選んでも、自分のレベルに合わなければ5STEPの手順を回せないためです。
ここでは、リスニング教材を選ぶ際の4つの基準と、教材の種類ごとの特徴を紹介します。
音声とスクリプトがそろっている
リスニング教材は、音声とスクリプトの両方がそろったものを選びます。スクリプトがないと、聞き取れなかった箇所が何と言っていたのかを確認できないからです。
たとえば、英語のニュースや動画でも、文字起こしや字幕が公開されているものは精聴の教材として使えます。スクリプトのない音声は、多聴用として使い分けます。
ただし、自動生成の字幕は誤りを含むことがあります。精聴に使う教材は、出版社や配信元が作成したスクリプトがあるものを選びましょう。
スクリプトを読めば意味が分かる難しさ
リスニング教材の難しさは、スクリプトを読めば意味がほぼ分かる程度が目安です。読んでも分からない英文は、聞いても分からないためです。
たとえば、スクリプトを読んで知らない単語が数語あり、辞書で調べれば意味が分かる程度であれば、5STEPの手順で練習できます。辞書を引いても文の構造が分からない英文が多い場合は、1段階やさしい教材を選びます。
ただし、やさしすぎる教材は聞き取れない箇所が見つからず、精聴の練習になりません。精聴用はスクリプトを見ずに聞くと分からない箇所がある教材、多聴用はほぼ分かる教材と使い分けます。
1回分が短く、繰り返しやすい
精聴やシャドーイングに使う教材は、1回分が1〜3分程度の短いものが練習しやすいです。同じ音声を何度も繰り返す練習では、長い音声だと1回の練習が終わらないからです。
たとえば、30分のポッドキャストを精聴に使う場合は、1〜2分の区間を切り出して練習します。区間ごとに再生できる教材や、再生速度を変えられるアプリがあると、繰り返しやすくなります。
ただし、短い音声だけを聞いていると、長い英語を聞き続ける集中力がつきにくくなります。長い音声は多聴で補います。
目的に合う話題・話者の音声
リスニング教材は、英語を使う目的に近い話題と話者の音声を選びます。仕事・旅行・試験など、目的ごとに出てくる語彙と話し方が異なるためです。
教材の種類ごとの特徴を、以下の表にまとめます。
教材の種類 | 特徴 | 向いている方 |
|---|---|---|
音声付きの参考書(会話・リスニング教材) | レベル別でスクリプトと解説がある | 初心者・中級者 |
試験の公式問題集 | 試験と同じ形式・話者の音声とスクリプトがある | TOEICなど試験のスコアが目的の方 |
英語のニュース・スピーチ | 話題が幅広く、スクリプト付きのものもある | 中級者・上級者 |
ポッドキャスト | 長さ・話題を選べ、多聴に使いやすい | 多聴の量を増やしたい方 |
映画・ドラマ | 自然な速さの会話で、背景が分かりやすい | 上級者・楽しみながら続けたい方 |
※英語の窓口編集部の整理です。教材ごとの料金・収録内容は、各出版社・配信元の公式サイトで確認してください。
TOEICのスコアアップが目的の方は、Part1〜4の形式に合わせた練習が必要です。試験向けの練習法はTOEICリスニングの勉強法で解説しています。
レベル別のリスニング学習メニュー
リスニングの学習メニューは、今のレベルによって重点が変わります。初心者は音と語彙の土台づくり、中級者は精聴とシャドーイング、上級者は多聴と自然な速さの英語への対応に重点を置くと、つまずきにくくなります。
ここでは、英語の窓口編集部が作成したレベル別のメニュー例を紹介します。レベルの目安は、英語の窓口のレベル分け(TOEICの点数は目安)に合わせています。
初心者(中学英語からやり直したい方)
初心者のリスニング学習は、中学英語レベルの語彙・文法と、基本的な音の変化を身につけることから始めます。土台の語彙と文法がない段階では、聞き取れない原因の多くが「読んでも分からない」ことにあるからです。
初心者のメニュー例は、以下のとおりです。
- 教材:中学英語レベルの音声付き参考書、ゆっくり話す会話の音声
- 練習:単語と文法の学習、1文ずつの精聴、音読
- 1日の例(30分):単語・文法15分、精聴10分、音読5分
音読で口が回るようになった英文から、オーバーラッピングとシャドーイングに進みます。
中級者(読めるが聞き取れない方)
中級者のリスニング学習は、精聴・ディクテーション・シャドーイングで音の変化に慣れることに重点を置きます。中級者はスクリプトを読めば分かる英文が増えているため、聞き取れない原因が音の変化と処理の速さに移っているからです。
中級者のメニュー例は、以下のとおりです。
- 教材:自然な速さの会話教材、試験の公式問題集、スクリプト付きのニュース
- 練習:5STEPの手順、ディクテーション、シャドーイング、聞き終えた音声の多聴
- 1日の例(45分):5STEPの手順30分、聞き終えた音声の多聴15分(通勤時間など)
1つの音声を3〜4日かけて使い切り、聞き取れるようになったら次の音声に進みます。
上級者(仕事で通用する聞き取りを目指す方)
上級者のリスニング学習は、多聴の量を増やし、さまざまな話者と話題に対応できるようにすることが中心です。基本的な音の変化に慣れた段階では、なまりのある英語や専門分野の語彙など、聞き慣れていない英語が課題になるためです。
上級者のメニュー例は、以下のとおりです。
- 教材:ニュース・ポッドキャスト・会議や講演の動画、仕事の分野の音声
- 練習:多聴、聞き取れなかった区間だけの精聴、シャドーイング
- 1日の例(60分):多聴40分、聞き取れなかった区間の精聴とシャドーイング20分
多聴の途中で聞き取れなかった区間に印を付けておき、週末にまとめて精聴すると、量と精度の両方を保てます。
リスニング勉強法でよくある失敗5つ
リスニングの勉強は、やり方を間違えると時間をかけても上達を実感しにくくなります。よくある失敗の多くは、練習量の不足ではなく、原因に合わない練習を続けていることにあります。
ここでは、リスニング勉強法でよくある5つの失敗と対処法を、表と個別の解説で紹介します。
よくある失敗と対処法の一覧
リスニング勉強法の失敗は、教材の選び方と練習の進め方に集中しています。失敗のパターンを先に知っておくと、伸び悩んだときに見直す点がすぐに分かります。
よくある失敗・原因・対処法を、以下の表にまとめます。
よくある失敗 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
聞き流しだけで終わる | 聞き取れない箇所を確認していない | スクリプトで確認する精聴を加える |
難しすぎる教材を選ぶ | 読んでも分からない英文を聞いている | スクリプトを読めば分かる教材に替える |
毎回新しい音声に替える | 聞き取れない箇所が聞き取れるまで練習していない | 1つの音声を5STEPで使い切る |
聞くだけで声に出さない | 自分で発音できない音を聞き分けられない | 音読・シャドーイングを加える |
日本語に訳しながら聞く | 処理が話す速さに追いつかない | 英語の語順のまま意味を取る練習をする |
※英語の窓口編集部の整理です。
当てはまる失敗が複数ある場合は、表の上から順に見直すと、練習の効果が出やすくなります。
聞き流しだけで終わる
聞き流しだけのリスニング学習は、聞き取れない箇所が聞き取れないまま残る点が問題です。聞き取れなかった音を確認しなければ、何度聞いても同じ箇所で同じように聞き取れないからです。
たとえば、毎日1時間英語のラジオを流していても、聞き取れない箇所をスクリプトで確認していなければ、聞き取れる音は増えにくくなります。聞き流しは、精聴で確認済みの音声を聞き直す多聴として使うと効果的です。
ただし、英語の音に触れる時間を作る意味で、聞き流しがまったく無駄になるわけではありません。聞き流しの時間とは別に、精聴の時間を確保しましょう。
難しすぎる教材・毎回新しい教材を選ぶ
難しすぎる教材や、毎回新しい音声を選ぶことも、リスニングが上達しない原因になります。難しすぎる教材は原因を確認しきれず、毎回新しい音声では聞き取れるようになる前に次へ進んでしまうためです。
たとえば、1日に3本の新しい音声を聞くより、1本の音声を3日かけて5STEPで使い切るほうが、聞き取れるようになった実感を持てます。
ただし、同じ音声を長く使いすぎると、内容を覚えてしまい聞き取りの練習になりません。すべて聞き取れるようになった音声は、多聴用に回して次の音声に進みます。
聞くだけで声に出さない
聞くだけで声に出さない学習は、自分で発音できない音を聞き分けにくい点が課題です。英語の音を自分で出したことがないと、似た音の違いに気づきにくいからです。
たとえば、light と right の違いは、自分で発音し分ける練習をすると聞き分けやすくなります。音読やシャドーイングを録音して音声と聞き比べると、自分の発音と原音のずれが分かります。
ただし、発音を完璧にしてから聞く練習に進む必要はありません。聞く練習と声に出す練習を同じ音声で並行して進めます。
独学のリスニング学習で詰まる場面と対処法
リスニングは、教材と時間があれば独学で伸ばせる技能です。音声とスクリプトのそろった教材を使い、5STEPの手順を続けられる方は、独学で十分に伸ばせます。
ここでは、独学のリスニング学習で詰まりやすい3つの場面と、場面ごとの対処法を紹介します。
独学で詰まりやすい3つの場面
独学のリスニング学習で詰まりやすいのは、自分の弱点を客観的に判断する場面です。聞き取れない原因や発音のずれは、自分では気づきにくいためです。
独学で詰まりやすい場面と対処法は、以下のとおりです。
- 聞き取れない原因が分からない:本記事の3つの手順で、スクリプトを読んだときと聞いたときの差を確かめる
- 自分の発音が合っているか判断できない:音読やシャドーイングを録音し、原音と聞き比べる
- 練習が続かない:1日の練習を15分などの短い単位にし、時間と場所を決めて習慣にする
上記の対処法で練習を続けられる方には、独学で足ります。
独学で解決しにくい場合の選択肢
録音を聞いても発音のずれが分からない場合や、1人では練習が続かない場合は、指導を受ける方法もあります。講師やトレーナーが発音のずれや弱点を指摘し、練習の量と進み具合を管理してくれるためです。
たとえば、英語コーチングの中には、シャドーイングの添削や発音の指導、毎日の学習管理をするサービスがあります。リスニングと合わせて話す力も伸ばしたい方は、英会話・スピーキング特化の英語コーチングの一覧で、発音矯正の有無や料金を比較できます。
ただし、英語コーチングは独学より費用がかかります。まずは独学で5STEPの手順を試し、詰まった点がはっきりしてから検討しても遅くありません。
まとめ
- 英語が聞き取れない原因は、音の変化・語彙と文法・処理の速さ・背景知識の4つ
- スクリプトを読めば分かるのに聞き取れない場合は音、読んでも分からない場合は語彙・文法が主な原因
- 練習法は、精聴・ディクテーションで音を確認し、シャドーイングで仕上げ、多聴で聞き直す順に組み合わせる
- 教材は音声とスクリプトがそろい、読めば意味が分かる1〜3分のものを選び、1つの音声を5STEPで使い切る
まずはスクリプト付きの音声を1つ用意し、3つの手順で自分の聞き取れない原因を確かめましょう。
よくある質問
英語のリスニング力を上げるには何から始めればよいですか?
まず、スクリプト付きの音声で、読めば分かるのに聞き取れない箇所と、読んでも分からない箇所を見分けます。前者が多ければ音の変化の練習、後者が多ければ単語と文法の学習から始めます。
英語の聞き流しだけでリスニングは上達しますか?
聞き流しだけでは、聞き取れない箇所が聞き取れないまま残るため、上達を実感しにくくなります。スクリプトで聞き取れない箇所を確認する精聴を行い、確認済みの音声を聞き流しで聞き直す使い方が効果的です。
リスニングの勉強にディクテーションとシャドーイングのどちらが向いていますか?
聞き取れない音を具体的に見つけたい段階ならディクテーション、聞き取れる音を増やし聞いた順に処理する速さを鍛えたい段階ならシャドーイングが向いています。1つの音声でディクテーションの後にシャドーイングを行う組み合わせも可能です。
英語のリスニング教材はどう選べばよいですか?
音声とスクリプトの両方があり、スクリプトを読めば意味がほぼ分かる、1回分が1〜3分の教材が練習しやすいです。TOEICのスコアが目的なら公式問題集、中級以上はスクリプト付きのニュースも選択肢になります。
出典・参考
- Shadowing: Who benefits and how? Uncovering a booming EFL teaching technique for listening comprehension(Language Teaching Research, 20(1), 35-52)(Yo Hamada(Akita University)/SAGE Publications) 2026年10月11日参照
- Crossref メタデータ(同論文の要旨)(Crossref) 2026年10月11日参照
この記事を書いた人
執筆
英語の窓口編集部
英語の窓口/編集部
英語コーチング・TOEICコーチングの口コミ・比較サイト「英語の窓口」の編集部。スクールの料金・口コミ比較と、TOEIC・英会話の勉強法やAI英会話の活用法を発信しています。